そのひと言が子供を傷つける
【×】「何度言ったらわかるの?」
子供が言うことを聞かない時、わりと当たり前のように使っています。
でもこの言葉には
こんなことができないあなたは劣っている
という意味合いが含まれてしまいます。
これは自分が子供の頃、親に言われた時のことを考えるとよくわかります。
もちろん親としてはわざわざ子供が自信をなくすような言葉を使っているわけではありません。
「これだけ毎日同じことを言ってるんだからいい加減わかってよ」、という気持ちがどんどん膨らんで、「つい」口にしてしまう。
でもその「つい口にしてしまう言葉」が子供にどんな影響を与えているのかきちんと理解しておく必要があります。
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【×】「もう勝手にしなさい」
何度同じことを注意しても言うことを聞かない。
言えばいうほど子供が駄々をこねて手がつけられなくなった時、思わず口にしてしまう言葉です。
子供は小さいうちは親が自分の世界そのものだと感じています。
なので、「もう知らない」とか「もう勝手にすれば」という言葉はその世界が壊されてしまうほどのことなので怖くて仕方がありません。
不安で怖いから仕方なくその時は言うことを聞くかもしれません。
でもそれはつまるところ、
見捨てられたくないからとりあえず言う通りにした
というだけです。
このような言葉を日常的に耳にしていると、子供は自分に自信が持てなくなってしまいます。
【×】「ダメ!」「○○しないで!」
子供は物心がつけば自分が理解できることはきちんと約束を守ります。
なので、まずは理解するまで、できるだけわかりやすく教えてあげる必要があります。
それでもなかなかわかってもらえない時は、(リスクを最小限に抑えた上で)あえてやらせて失敗させたり、ちょっと痛い思いをさせることも大切だと思います。
僕たち大人もそうですが、間違ったり、痛い思いをしてはじめて身に付くことがたくさんあります。
例えば台所で揚げ物をしているとき、子供が走り回っているとヒヤヒヤします。
わが家は台所とリビングがつながっているので、子供たちが夢中で遊んでいる時に台所の方まで来てしまうことがよくあります。
そこで「油がかかったら熱くてやけどしちゃうから、こっちには来ないでね」と言いますが、なかなか言うことを聞いてくれません。
といって「危ないから向こうにいってなさい‼︎」と怒鳴りつけたところで、その時は「怒られたからとりあえず近づくのはやめよう」とは思うかもしれませんが、どうして近づいてはいけないのかは理解できていないため、忘れた頃に同じことをしてしまいます。
なので、やけどしない程度のちょっと熱いお湯を器にいれて、「これちょっと触ってごらん」と触らせます。
当然子供は熱くてすぐに手を引っ込めます。
「この鍋に入っている油はこれよりもっともっと熱いんだよ。これがかかったら大やけどしちゃうよね?」と言うと、どうやら揚げ物をしている(火を使っている時)に近づくと痛い思いをするかもしれない、ということは理解してもらえたようです。
そして少しずつ大きくなって、台所のお手伝いもできるようになったら、火の使い方を教えればいいのではないかと思います。
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【○】「どうすればいいと思う?」
子供は自分を肯定してもらえると自信を持つことができるようになります。
なので子供には「きっとわかってくれる」という前提で接するようにします。
その上で、どうすれば同じことを言わなくて済むか対策を考えます。
僕の小学生になる娘はニンテンドーのDSがとても好きですが、あまりにも時間を守れないので、話し合った結果、「誓約書」を書くことになりました。
誓約書といってもメモ用紙に自分で書かせるだけです。
DSの時間を守れなかったら1週間DSはやりません。
最後に署名もさせます。
守れなかったら1週間のペナルティが課せられるという内容ですが、大切なポイントは子供が自分で理解した上で自分でルールを作り、それを守るという選択をしたことにあります。
仮に時間を守れなかったらその「誓約書」を見せて静かに没収するだけです。
子供は自分で決めたルールなので黙って従うしかありません。
その代わり、守れたときはきちんと褒めるようにします。
そうすると、
自分で決めたことを実行に移す⇒褒められる、うれしい
自分で決めたことが実行に移せない⇒褒められない、居心地が悪い
という感覚が生まれるので、自然と褒められる方を選ぶようになります。
子供は「○○しなさい」とか「○○するな」と一方的に言われるより、肯定され認められたがっています。
なので、できるだけ選択肢を与えて選ばせるようにします。
「自分で決めた」ということが責任感を育てることにもなりますし、自分で考える力も育てることになります。
子育てでうれしい瞬間
子育てというのはきっと「これだ」というスマートな方法なんてないのだと思います。ぶつかっては考えて少しずつ「正解らしいもの」に近づいていく毎日。
子供は日々成長していきますが、親も同じくらい成長していかないといつまでたっても毎日同じことのくりかえしになってしまいます。
人生経験は子供よりずっと長くても、親としての経験なんて短いですから。
でもそんな日々のなかで突然子供が黙って手伝いをするようになったり、兄弟のめんどうを見てくれたりするのを見ると、心からうれしくなります。というより、それが子育ての醍醐味だなと思います。
北風と太陽の話
僕はイソップ寓話の中の有名な「北風と太陽」の話が好きです。
簡単な内容はこちらから⇒『北風と太陽』
現実には「太陽」だけでも人は動かないとは思いますが、厳しい言葉だけでも人は動かないことは言うまでもありません。
子供にどうすればいいか聞くように、親自身も自分に「どうすれば同じことを言わなくても済むだろう?」と自問自答したいところです。
親が感情的になっていると子供は考えるよりも防衛本能からますます話を聞かず、殻に閉じこもってしまうようです。
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まとめ
親だから親らしくしなければ。
そう思って自分自身の親の育て方や様々な「育児本」に書かれていることをそのままやろうとしてしまう。
「理想像」にとらわれて子供の話に耳を傾けることが難しくなってしまう。
でも僕たち親もまた、かつては子供でした。
どのように言われたらうれしくて、どのように言われたら哀しい、嫌かということはすでにわかっているはずです。
それがいざ子供のわがままな状態を目の前にするとすっかり頭から飛んでしまって、同じように感情をぶつけてしまう。
一呼吸おいてどうすれば子供が成長できるかを考えながら、かける言葉ひとつひとつを選ぶことも必要だと思います。
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