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書評・感想
副題にある通り、考えるより五感を使うことの大切さが語られています。普段当たり前のようにやっていることを意識的に行い、コントロールすることで今この瞬間に集中する。そうすることでイライラや不安は確かになくなっていきました。
読書メーターでも公開しています⇒『考えない練習』
以下読書メモです
(P27)
無駄なエネルギーを使わない思考、その時に最も適切な必要最低限のことだけを考えて、どうすれば無駄な思考や空回りをする思考を排除できるか、さらには、どうすれば煩悩を克服できるかが、仏道のスタートであり、ゴールでもあるのです。
(P57)
批判や悪口を言うことで、その相手より立派な人間だというプライドを保つことができるような錯覚を得ますが、実際には、自分に怒りの煩悩が増えるだけです。
(P67)
いま自分がどんな感情を抱いているかを、日常生活の中で、呼吸を通じてチェックする練習をしていますと、次第に自分の感情に気がつきやすくなります。
相手の顔色や態度を観察するのと同じように、自分の呼吸を通して、自分の心の方向性を決めるシグナルに気がつくようになりましょう。気がつけば、自然に、苦しい呼吸は直され、呼吸と心が連動していくことでしょう。
(P77)
けれども、愚痴を言っている方はそもそも、その内容を伝えたいというより、自分のことをわかってもらいたいという気持ちに導かれているのです。ですから話を聞く時に最も重要なのは、相手の感情を浮き彫りにして受け止めてあげることです。そのためには相手の声音や速度、呼吸の変化といった情報に注目することです。
(P83)
まず、どのような時でも役に立つのは、相手を突き動かしているのは、苦しみ=ストレスなのではないか、という洞察です。こちらを批判することやおとしめることによって解消したいストレスがあるからこそ、そうして行為に及んでいるのだと。
(P84)
このように思考を止めてまじまじと「音」を観察することで、相手の苦を見出すことができます。相手が良からぬことを口にした時には、現実の情報を明晰に分析しますと、批判している当の本人が自らの煩悩ゆえに報いを受けていることが洞察できるでしょう。この人は無意識的には苦しんでいるのだなと思うことで、こちらにも余裕が生まれます。
(P105)
笑うというのは、刺激が強い状態です。特に大笑いしている時はかなり興奮しています。テレビのお笑い番組に人気があるのは、世の中に強いストレスがあり、笑いという、より大きな刺激を与えることによって現実のストレスを打ち消そう、忘れようとする潜在的な願望があるからでしょう。
(P122)
なるべく相手の自我を刺激しないというのが、人間関係におけるたしなみです。
(P132)
問題は、意識がどこに向かっているかということです。ダイエットしなきゃ、と思い始めると、人はむしろ食事のことばかり考えるようになります。本当は食事のことを考えないことがダイエットには一番理想的なのに、常に「食べちゃダメ、食べちゃダメ!」とネガティブに食事のことを考えてしまいます。
(P133)
裏を返せば、よく嚙んでしっかりと感じながら食べれば、本来、空腹を満たすために必要な量、自分の身体を満たす少量だけで、十分食べたという実感がしますので、「足るを知る」ことを通じて、自分に最適な量を知ることができるようになります。
(P167)
飲酒もお勧めできませんが、どうしても飲みに行きたいのなら、大騒ぎにならず、愚痴や悪口の言い合いにならず、しっとり飲めて良い話ができる人を選びましょう。
とにかく強い刺激より穏やかな刺激に止め、しっかり休むことを心がけましょう。
そうしないと、脳が「面白かった。疲れが取れた」と錯覚しているだけで、実際は、疲れはどんどん蓄積していくだけなのです。
(P184)
幼児期は特に、需要の観点が必要です。子供が泣き叫んでも、叱って否定しないことです。
決して甘やかしたり、放置するのではなく、「この子が穏やかでありますように」という慈悲の念を保ちながら、「大丈夫、大丈夫だよ」とギュッと抱きしめてあげる。そうした基礎的な信頼関係を言葉もわからない1〜3歳のころに示しておきます。