違和感を大切に
ホーム(home)というのはわかりやすくいえば「慣れ親しんだ環境」のことで、アウェー(away)というのは「いつもとは違う環境」のことです。
僕たちはホームでは自分が本来持っている力を存分に発揮することができます。
これは脳が不安や恐れといったネガティブな感情を持つことがないので、目の前のことに集中できるからです。
人と話すのが苦手というわけではないのに、大勢の前で話すとなると途端に緊張してしまうことはありませんか?
通常、大勢の前で話す機会というのは少ないですから、その状況自体がアウェー、さらに「見られている」という意識が働くために自己防衛のため緊張するわけです。
それならホームから出なければいいじゃないかと思ってしまいそうですが、ことはそう簡単ではありません。
それは僕たちの頭の中にある脳というものが驚くほど怠け者だからです。
脳はラクをする
ここ数年は脳についての本を読んでいて、よく自分の脳の働き方について考えたりするのですが、つくづく脳というやつは(僕という人間は)怠け者なんだなと思います。
少しでも通り慣れた、石ころひとつ落ちていない平らな道を歩こうとするし、できるだけエネルギーを使わないでおこうとする。
これは人間がまだ「生きる」ということに必死だった時代の、爬虫類的な部分の脳(大脳辺縁系)が、今でも僕たちの頭の中にあるからなのですが、モノも情報もあふれている今の時代ではそれが返って足かせになってしまうんです。
なので、意識してホームから抜け出さないと、自分の弱さや弱点に気がつくのが難しくなってしまいます。
ホームから出てみる
だからといって、いきなり会社を辞めるとか、ライフスタイルをガラッと変える必要はありません。
たとえば僕は左利きなのですが、ご飯を食べる時に右手で箸を持って食べようとすると、当然うまく食べられません。
これは歯ブラシでも同じですね。この「いつもと違う状態」がアウェーなんです。
あるいは「行きつけの店」がある方は、いつもと違うお店に足を運ぶ。
通勤ルートを変える、ということだって十分にアウェーを体感できます。
この時に感じている「あ、いつもと違う」というもやもやした感覚が脳に良い刺激を与えます。
いつもと違うものに触れることで、いつも触れているものの良さに気がつく、あるいは再確認できるわけです。
アウェーがホームになる時
「住めば都」ということわざがあるように、どのようなアウェーな環境でも、長く居続けるといつしかそこがホームになります。
これは新しいことを始めるときに必ず感じることなのですが、スポーツにしても楽器の練習にしても、はじめはみんな違和感があり、アウェーなわけです。
アウェーをホームにするためにはとても長い時間が必要になります。
僕は今年の6月から近くの公園をジョギングするようになりました。
きちんと走るなんてもしかしたら20年ぶりくらいかもしれません。
なので、新しいランニングウェアに着替え、公園に立った僕はもう完全なアウェーです^^;
まわりの視線も気になるし、なんだか居心地が悪い。
でもこれを毎日短い距離でも続けていると、周りの視線も気にならなくなるし、僕の生活のリズムの中に走るという行為が自然と溶け込んでくる。この状態がホームです。
そう考えてみると、「3日坊主」を克服するのは決して難しいことではありません。人は同じことを30日も続けていれば必ず慣れてしまいますから、才能とか資質みたいなものは一切抜きにしてまず30日続けるということを目標にすればいいんです。
人間関係を変える
アウェーをもっとも体感できることは人間関係を変えることです。
脳はラクをしたいので、自然と人間関係はできるだけ自分と似ていて、気を使わなくても良い関係性を築こうとします。
なので、意識をしないでいると「似た者同士」のグループができあがります。その中で同じような価値観が形成され、肯定されるので「別の見方」ができなくなってくる。
すると、自分たちと違う価値観や意見をもった人たちを受け入れられなくなってくる。早い話が頭がどんどん固くなっていくわけです。だからこそ、人間関係においてもあえてアウェーな関係の人たちと接する機会を作ると、いろんな角度から物事をみられるようになります。
チェック
あえて居心地の悪い状況に身を置く
僕は人というものは変われるけれども、そんなに大きくは変われない。
でもたくさんのことに気づくことができれば、自分が変わらなくても、今の自分を肯定できるようになるんじゃないかと思っています。
その点、自分に自信がなくなったときなどは意識して今のホームから出てみると、自分の長所が見えてくるはずです。
まとめ
新しいことにチャレンジすることの意味は、自分が変わり続けるということよりも、改めて自分が本来持っている価値に気づくためじゃないかと思います。