言われたことだけやればいいの?
何を残したか?
上司に言われたことをなかなかやらない部下がいます。
本人なりにはいろいろ理由があるらしく、聞くともっともらしいことを言うのですが、いつも最終的には指示したことを形にできません。
それでも本人は「こんなに頑張っているのに評価してくれない」と思っています。
仕事は各自が自分の役割を果たしてはじめて成り立つものです。
その点で、指示したことが最終的にきちんと形になっていることは最低条件だと思います。
逆にそれができなければ、どれだけ頑張って努力していたとしても評価はされません。
個人的に「努力は認めるよ」という言葉をかけることはできますが、「上司」という立場としては評価するわけにはいきません。これは僕自身会社勤めをしたばかりの頃、「部下」の立場では見えなかった部分です。
上司は部下が形として残したものしか評価できません。
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上司・会社が悪い?
仕事と個人的な感情は明確に分けられていないと最後は「うちの上司は冷たい」と思うようになります。
どうして個人的な感情が入り込んでくるのかというと、以下のようなことが考えられます。
- 自分は上司より仕事ができると思っている
- 評価してもらえないからそんなに努力する必要もないと思っている
- 本来もっともらえるはずの給料がもらえていないと思っている
- 仕事での評価と自分自身の人格の評価が一緒になっている
- うまくモチベーションを上げてもらいたいと思っている
はじめに、
「会社・上司はもっと自分を評価すべきだ」
「自分をうまく使えない会社が悪い」
という不平不満があります。だから、
すべてお膳立てしてくれないと動きませんよ
と甘えているわけです。
また、自分への過大評価があると、どうしても上司の指示に素直に従えなくなります。
では言われたことだけやっていればいいかといえばそれもまた違います。
その後どうするか?
まず言われたことを実行する。
言われた通りやったのに結果が思わしくない。
たとえば売上が上がらない、経費がかさんだなど、うまくいかないこともあります。
そこで「こういう案もありますが」と提案すると上司はその意見を受け入れてくれます。
言われたことをやらない部下は問題ですが、言われたことしかやらない部下もやはり問題だと考えてしまいます。
言われたことをやりながらも、常により良いものを求めて提案してくる部下がいると上司も成長できます。
また、そこでせっかくの部下からの提案を拒否するような上司はそこで成長が止まり、いずれ部下に追い越されることになります。
部下の成長を考えれば、上司は部下の視野を広げる方法を考える必要があります。
そのためには自分が見ている景色がどのようなものなのかを教えるのが有効だと思います。
自分がしていることが会社としてどのような位置づけで、最終的にはどのような影響を与えるのかということを具体的に説明します。日々そのような話をしていくと、少しずつ視野が広がり、長期的に仕事を組み立てられるようになってきます。
そういう意味では、仕事の内容よりもまず、「そもそも仕事とはなんなのか」ということをきちんと理解させることの方が重要かもしれません。
やったことが評価
指示された通り100%できるかどうかより、「形にして残した」こと自体に意味があります。
甘えてしまっている部下はどうしても実際にやる前に言い訳や愚痴が多くなります。
結果言われたことをやらなければ評価されないのは当たり前です。
当たり前なのですが、それでも評価されないことに憤慨する部下もいます。
なにをやったか話をさせる
評価される部下というのは黙々と仕事をしています。
企画を考え、どうすれば会社に貢献できるか考えている。
会議の席でも
「こういうことをやってみてこういう結果になりました、次回はこちらの企画で行こうと思います」
というように、常に具体的かつ前向きな発言になります。
それが普段の業務の中に嫌でも垣間見られるし、さまざまな「痕跡」がみつかる。
だから信頼されるわけです。
一方評価されない部下というのはどうしても言い訳が多くなります。
会議の席でもいつも上司に
「そういえばこの間の企画やってみたの?」
と聞かれては同じような言い訳や、それをやることのデメリットばかりを口にします。
自分中心の仕事の組み立て方なので、上司の指示はどちらかというと「面倒なこと」という位置づけになってしまいます。
結果、いつまでたってもなにも変わらないわけです。
こんなにやっているのに?
本人の中では「こんなにやっているのに」というイメージだけが膨らんでいるので、一度本人の口から「今月は何をやったのか?」「来月は何をやるのか?」ということを具体的に言わせるといろんな気づきがあります。
するとたいてい「うーん」と考えた後、確かに言われたことをやってないなと気がつきます。
僕も経験がありますが、
入社当初というのはとても視野が狭く、自分視点しかないために自分の行動を客観的に見るのがとても難しいです。
自分では一生懸命頑張っているつもりなので、上司に評価されないとイライラしたりモチベーションも落ちてしまいます。
実際には段取りが悪く時間の管理が下手で、データ分析もできないために精度の高い計画も立てられないだけでした。指示されたことがとんでもない要求に思えてしまい、内心「それどころじゃないよ」と思っていたこともあります。
今思えばなんであんな簡単なことができなかったのかと不思議なくらいです。
仕事を複雑にしてしまうモノ
だからこそ、上司は自分が部下だった頃のことを思い出しながら、部下は自分が上司だったらと想像しながら歩み寄る必要があると思います。
ただ、それでも仕事中は個人的な感情は切り離したほうが良いと思っています。
「歩み寄る」というのは「仲良くなる」ということではありません。
仕事以外では友達感覚でも良いですが、仕事中は心理的にけじめをつけないと嫉妬や奢り、甘えからくる依存心などからさまざまな問題が発生するということは周知の通りです。
それが仕事というものを複雑なものにしてしまう原因にもなっています。